私も、娘が体操をしており、怪我なども良くします。最近では、メジャーリーガーの大谷選手の影響か野球もやり始めています。
そんな運動などをしている子どもたちの「痛み」や「しびれ」を子どもが訴えたとき、見過ごしてしまっていませんか?
特に成長期の子どもに起こる「コンパートメント症候群」は、適切な治療が遅れると深刻な後遺症を引き起こす可能性があります。本記事では、この疾患の原因や症状、治療法、予防策を分かりやすく解説します。
コンパートメント症候群とは?
筋肉や神経が筋膜に囲まれた「区画(コンパートメント)」の内部圧が上昇し、血流が阻害されることで筋肉や神経にダメージを与える疾患です。足を色分けした画像を下記に示しています。
骨折や打撲などでこの部分の圧力が高くなって、しまう怪我になります。
子どもに起こる特徴
- 小児の発症率は全体の10%未満と稀ですが、外傷や運動負荷がきっかけで発症することがあります。
- 特に成長期の子どもは骨や筋肉の発達段階にあるため、症状が進行しやすいのが特徴です。痺れや痛みが続くようであれば、すぐ医療機関に相談することをおすすめいたします。
どんな子どもが発症しやすい?
主な原因
- スポーツや運動
激しい運動や繰り返しの負荷がかかることで、慢性型コンパートメント症候群を引き起こすことがあります。陸上競技やサッカー、テニスなどで発症リスクが高いと言われています。 - 外傷
骨折や打撲などの怪我後に発症する急性型が一般的です。特に下腿(脛骨・腓骨)や前腕(橈骨・尺骨)の骨折後に起こりやすいです。 - 成長期特有の変化
骨や筋膜が成長に伴って柔軟性を失う場合があり、これが圧力の逃げ場を少なくする原因となることもあります。
症状は?
急性型
外傷後に数時間以内で以下のような症状が出現します:
- 強い痛み(特に動かしたとき)
- 腫れや圧痛
- しびれや感覚異常(知覚鈍麻)
- 筋力低下
慢性型
スポーツや運動後に次第に現れる症状です:
- 部分的な痛みやしびれ
- 運動後の軽快、ただし重症になると痛みが持続
- 足や手の脱力感
診断と治療
診断方法
- コンパートメント内圧測定:最も信頼性の高い診断方法で、内圧が30~50mmHg以上の場合は治療が必要です。
- 画像診断:X線やMRIで骨折や筋損傷を確認します。
- 問診と観察:運動後の症状や外傷歴を詳しく聞き取ります。
治療法
急性型
- 筋膜切開術(ファシオトミー):圧を解放するために筋膜を切開します。発症後12時間以内の手術が予後を左右します。
慢性型
- 保存的療法:安静、練習量の調整、ストレッチやアイスマッサージで対応します。
- 手術療法:保存療法で効果がない場合、筋膜切開術を行います。
リハビリテーションと予防
術後リハビリの流れ
- 早期のストレッチと自動運動
痛みが軽減した段階で、軽い歩行やストレッチを開始します。 - 段階的な運動復帰
- 術後1週間:軽い歩行
- 術後4週間:ジョギング
- 術後2~3か月:ランニングや競技復帰
予防のためにできること
運動前後のケア
ウォームアップとクールダウンを徹底し、筋肉の柔軟性を高めましょう。特に前脛骨筋 すねのストレッチが効果的です。
下腿の運動はこちらを参照してください。
外傷時の早期対応
骨折や打撲を受けた場合、腫れや痛みが持続する場合はすぐに専門医を受診してください。放置しておくと、OPEが必要になる場合がありますので、早めの受診を保護者はしていく必要があります。
適切な練習量の管理
高強度の練習を避け、休養日を設けることで慢性型のリスクを低減できます。子どもの成長に合わせたストレッチや負荷をかけた練習がとても重要になってきます。
親や指導者へのメッセージ
コンパートメント症候群は発症頻度が低い疾患ですが、見逃されると後遺症を残す可能性があります。
特に子どもは自分の症状を正確に伝えられない場合があるため、痛みやしびれを訴えた際には注意が必要です。早期の診断と治療、適切なケアで予後は大きく改善します。日常的なケアや予防法を実践し、子どもの健康を守りましょう。
コメント